2度目の忘れられない恋




「本当に夕日綺麗だね」


「…はい、久しぶりに見ました」


車椅子を押してカフェの窓際まで来ると、みおさんは目をキラキラさせた


「空さん」


「なに?」


「私の小さい頃の話とか、額田さんから聞いてるかもしれないですけど…

…私の話、聞いてくれますか?」


彼女はぽつりぽつりと、歴史を話し始めた

父親のこと、今回の事件が起こったわけ、消えない傷


つらいのは俺じゃなくてみおさんなのに、勝手に涙が出てくる…


「…ごめん、泣きたいのはみおさんだよね

なのに俺なんも出来なくて…」


彼女は自分の前をしっかり見据えて話していた

そして、なんとか動く右手で
俺の涙をぬぐってくれた


「何もしてないことないですよ空さん!今日来てくださって、一緒にいてくれて

…それだけで怪我が全部なおるくらい私には重要な日です。

あと、伝えたいことも…あって……」



伝えたい事…



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