君の笑顔は、俺が絶対守るから。
もんもんとそんなことを考えていると、ドアの向こうから佐倉と弟の春陽の話し声が聞こえてきた。
「そうだ! 梓おねーちゃん、僕も一緒に入っていい?」
「え? 一緒に?」
「うん! 僕、背中洗ってあげる!」
春陽のやつ……またバカなこと言い出しやがって。
つーか猫かぶりすぎてて気味が悪い。
最早別人レベルと言っていいくらいだ。
せっかく風呂であったまったのに、春陽の可愛い子ぶった声を聞いて鳥肌が立っちまった。
うんざりしていると、とんでもないセリフが続けて聞こえてきた。
「そうだね……一緒に入ろうか!」
「ほんとっ?」
「うん! 私ひとりっ子だったから、兄弟でお風呂に入るの、実は夢だったんだ~」
はあ? 入るのかよ!
佐倉、あいつバカなのか? バカなんだな?
ありえねぇだろ、春陽はあれで一応小6なんだぞ。
「じゃあ僕、着替えとってくる!」
そんなうかれた弟の声に、俺は呆れを通り越し怒りを覚えながら目の前のドアを開いた。