君の笑顔は、俺が絶対守るから。
俺の好みは置いておくとしても、一般の目で見て佐倉は可愛い。
電車でも学校でも、こいつをチラチラ見て気にしている男が多いことは気づいていた。
それなのに、小鳥とかいう存在のせいか、本人だけがそれをまっっったくわかってないんだ。
誤魔化すようにわざとらしい数回咳ばらいをして、佐倉を指さす。
「とにかく、お前はもっと自覚しろ! 現に痴漢されてんだから、油断すんな!」
「そんなこと言われたって……」
「わかったな?」
「うー……。わ、わかりました」
渋々、といった感じでそう言った佐倉に、内心ため息をつく。
全然わかってないんだよな、これは。
やっぱり俺が気を付けてやらないとダメだ。
本当に危ない目に遭ってからじゃ遅いんだ。
腰が抜けたと言う佐倉の手を引いて、家までの道を歩き出す。
ことあるごとに自分は可愛くない、女らしくないと言う佐倉だけど、繋いだ手はちょっと力を入れたら折れてしまうんじゃないかと、本気で心配になるくらい華奢だ。
冷たくなって震える手を、細心の注意を払ってしっかりと握り直す。
こいつは俺が守らなきゃ。絶対に。