君の笑顔は、俺が絶対守るから。
「兄ちゃんばっかずるい。ねぇ梓おねえちゃん。明日は僕のこと起こして? 僕、梓おねえちゃんに起こしてもらえたら、すっきり目が覚める気がする!」
春陽くんのそんな可愛いお願いに「もちろんいいよ!」と答えようとした時、一ノ瀬くんのげんこつが春陽くんの頭に落ちた。
「いったー!? 兄ちゃん何すんのさ!」
「調子乗んなっつっただろ。佐倉、こいつの部屋入んの禁止な」
「はあ!? 兄ちゃんずるい! おーぼーだ!」
「うるせぇこの猫っかぶりが!」
なぜこの見目麗しい兄弟は、顔を合わせる度こうなんだろう。
毎日ケンカしてるのかなあと黙って眺めていると、京子さんが「うるさいわねぇ」とふたりに割って入った。
「あんたたちが梓ちゃん大好きなのはよくわかったから、黙って食べなさい」
その言葉に一ノ瀬くんが、飲んでいた牛乳を盛大に吹いた。
それをかぶった春陽くんが、またキャンキャンとマロのように怒りだす。
そのマロは足もとでおとなしく朝ごはんを食べてるんだけど。
一ノ瀬家は今日も賑やかで、昨日嫌な目にあったことも、私はすっかり忘れていた。