君の笑顔は、俺が絶対守るから。

「だって、一ノ瀬くん部屋の外から呼んでも全然起きないんだもん」

「母さんがいままでやってたんだから、任せりゃいいんだよ。それとも……」


くるりと回転し、私が下、一ノ瀬くんが上と、まるで押し倒されるような体勢になってドキリとした。

垂れた髪の間で、切れ長の目がいじわるげに細められる。


「そんなに俺に押し倒されてーの?」


ムダに低く良い声で言われ、カッと顔が熱くなった。


「そ、そんなわけないでしょ!」


ボスンとまくらを彼の整った顔に押し付けて、腕の中から逃れる。


ムダに整った顔で、朝から色気を振りまかないでほしい!

心臓に悪いんだから!


一ノ瀬くんはベッドに寝転がったままくつくつ笑って、私を流し見る。


「まあ、平手打ちされなくなったのは進歩だな」

「そりゃあ、毎朝叩いてたら、一ノ瀬くんの顔が変形しちゃうだろうし……」


一ノ瀬くんのファンに恨まれるのはごめんだ。
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