君の笑顔は、俺が絶対守るから。
「それに手形つけて学校行くと、森姉妹に怪しまれるでしょ?」
「あー、あいつらな。マジうぜー」
大きなあくびをして、ようやくのそりと一ノ瀬くんは起き上がった。
あちこち跳ねた黒髪を見ると、つい撫でて整えたくなり、我慢するのに苦労する。
うずうずする右手をぎゅっと自分の胸に押し付けた。
やっぱり私、最近変かも。
男の人に対してこんな風になるなんて、ちょっと前までは考えられなかった。
「お前、ちょっと男に慣れてきたんじゃね?」
「えっ」
「平手打ちしなくなったじゃん。慣れてきたってことだろ」
「そ、そう……かな?」
良かったな、と言う一ノ瀬くんは、からかうんじゃなく真面目に言っていた。
それに微妙な気持ちになりながら、彼が着替えるというので部屋を出る。