君の笑顔は、俺が絶対守るから。
【side:CHIAKI】
「前に電車で痴漢に遭った時、高橋くんに助けてもらったから。いつか恩返ししたいって、ずっと思ってたんだ。それが叶ったから、全然後悔してないよ」
熱で苦しそうな顔をしながらも、澄んだ目をしてそう言い切った佐倉。
「お前って……」
まじめというか、素直というか、お人よしというか。
何度俺をこんな気持ちにさせれば気がすむんだ。
痴漢から助けたのは俺!
お前が高橋に恩返しする必要は微塵もない!
というか恩自体ない!
あきれるやら腹立たしいやらで、ため息しか出てこない。
そのあと、薬を飲んで眠った佐倉の看病をしながら、自分の気持ちと向き合った。
熱に浮かされている佐倉のおでこを、冷たいタオルでぬぐってやると、ふっと表情がゆるんで落ち着いた寝息をたてはじめる。
可愛いなと思った。