君の笑顔は、俺が絶対守るから。
くるんとカールした長いまつ毛が、時折ふるえる。
白く滑らかな頬は熱で淡く染まり、薄く開かれた花びらみたいな唇からもれる吐息にさえ、色がついているように見えた。
汗ではりつく彼女の髪をよけながら、そっと笑った。
俺の寝顔がかわいいとか騒いでたけど、自分こそじゃん。
こいつって、こんな可愛い顔で寝てたんだ。
いままで見ていなかったのを後悔するくらい、佐倉の寝顔は可愛かった。
「あー……やっぱ、そういうことだよなあ」
佐倉のベッドに顔を伏せ、小さくうめく。
いつもより速い鼓動が、真実を物語っていた。
俺は佐倉のことを、特別に想っているらしい。
佐倉が眠っているのをいいことに、この花びらみたいな唇に、キスしたいなんて考えるくらいには。
いや、やらないけど。
そこまで最低な男じゃないつもりだ。