君の笑顔は、俺が絶対守るから。
内心ほくそえんでいると、今度は一ノ瀬くんがスタートラインに立った。
普段彼のクールな雰囲気と森姉妹の鉄壁のせいで近寄れない女子たちも、ここぞとばかりに応援している。
中でもやっぱり目立っているのは森姉妹で、姉妹で応援席から身を乗り出し全身を使って「千秋愛してるー!」「抱いて―!」と叫んでいた。
一ノ瀬くんはまるで聞こえていないみたいに反応しないけど。
ふーんだ。おモテになって結構なことですね!
私は絶対応援なんてしてやらないけど!
面白くない気持ちで眺めていると、ピストルが鳴り、一斉にランナーがスタートした。
すぐに頭ひとつ出たのはふたり。
一ノ瀬くんと、もう一人はバスケ部の男子だ。
帰宅部なのに運動部に勝てるはずない。
そう思ったけど、ほぼ互角の走りでふたりはゴールに向かっていく。
ものすごい接戦に、周りは盛り上がり、応援もヒートアップしていった。