君の笑顔は、俺が絶対守るから。
「なぁ、高橋。お前んち、姉ちゃんと妹がいたよな」
「うん。いるけど」
「女が不機嫌になる理由って、なに?」
そんな質問をすると、高橋はあからさまに驚いた顔をで俺を凝視した。
「え……。一ノ瀬、気になる子でもできたの?」
「うるせぇな。いいから答えろよ」
「横暴だなあ、もう。教えをこいたいならそれなりの態度ってものがあるだろ」
「答える気がないならいい。忘れろ」
「あー、わかったわかった! 女が不機嫌になる理由ね!」
高橋は少し考えたあと、申し訳なさそうに「ありすぎてわかんない」と言った。
その情けない表情に、普段家で苦労してるんだろうなと察してしまう。
「ありすぎるって、例えば」
「えー。例えば、彼氏とケンカした、とか。ニキビができた、とか。ラインの返事がすぐこない、とか。天気が悪い、とか。特に理由がなくても不機嫌になる場合もあるし」
「お前……大変だな」