君の笑顔は、俺が絶対守るから。
「梓ちゃん……。ありがとう。なるべく早く帰れるようにするから」
京子さんは一ノ瀬くんに視線を向け、真剣な顔をした。
「千秋。頼むわよ」
「わかってる」
一ノ瀬くんは斜め前のソファーから腕を伸ばし、私の左手をそっと握りしめてきた。
その温かさと優しさに、心臓が大きく跳ねる。
「何があっても、俺がこいつを守るから」
思わず叫びそうになった。
こんなドラマでも聞かないような情熱的なセリフを一ノ瀬くんが言うなんて。
しかも私のことを守るって。
一気に沸騰するみたいに頬が熱くなる。
「任せたわ。春陽も、梓ちゃんのことを守ってね」
「もちろん! 梓おねえちゃん。兄ちゃんなんかに負けないから。梓おねえちゃんは僕が守る!」
ぐっと表情を引き締める春陽くんが、小さなナイトに見えた。