君の笑顔は、俺が絶対守るから。
その夜、母さんから単身赴任中の親父がケガをしたことを知らされた。
さすがに放置というわけにもいかないらしく、母さんが入院に必要な荷物なんかをまとめに親父のところに行くという。
母さんの心配をよそに、佐倉は親父の心配をしていた。
自分が最近危ない目に遭っていることなんて、すっかり忘れている様子に頭が痛くなってくる。
母さんが俺に目配せしてきたので、小さくうなずいた。
「千秋。頼むわよ」
「わかってる」
腕を伸ばし、斜め前に座る佐倉の左手を握りしめた。
細く頼りない、柔らかな手に覚悟を決めた。
「何があっても、俺がこいつを守るから」
最近避けられてるけど、どんどん嫌われていっている気がしてるけど、だとしても関係ない。
佐倉が俺に守られるのを嫌がっても、俺は絶対に守りぬく。