君の笑顔は、俺が絶対守るから。
「たまたま、電車でべたべたしてるって?」
カッと顔が熱くなる。
べたべたなんて、一体誰がそんなことを。
あれはただ、一ノ瀬くんが私を守ろうとして立ってくれているだけなのに。
「この際だからはっきり言うけど、千秋はうちの五鈴と付き合ってんの。あんたは人の彼氏に手ぇ出してんだよ。わかってんの?」
やっぱりふたりは付き合ってたんだ。
わかってはいたけど、改めて突き付けられると心臓がえぐられたように痛い。
「手なんて、出してない」
「はあ? 千秋のこと好きじゃないって言うわけ?」
「そ、それは……」
言い淀む私を、森妹が鋭い視線で射抜く。
好きじゃない。
好きなわけない。
そう言うべきだって、頭ではわかってる。
私と一ノ瀬くんが同居していることは、学校では秘密にすると誓ったんだから。