君の笑顔は、俺が絶対守るから。

誠実そうな、朴訥とした印象の人だそうだ。


「まだ、名前も知らないの……」


恥じらいながらそう言った小鳥のあまりの可愛さに、応援しようと心に決めた。

小鳥が好きになった相手だ。

悪い人なわけがない。

小鳥の恋がうまくいくよう、誰より願い、応援しよう。


「その人と、仲良くなれるといいね」

「梓……! ありがとう! 梓も、一ノ瀬くんとうまくいくといいね」


小鳥とミーナがそうやって応援してくれるから、私の恋がうまくいくことはないんだと、言えなかった。


一ノ瀬くんには森さんという彼女がいる。

私がどれだけ彼を好きになったとしても、その事実は変わらない。


それでも好きという気持ちは、どんどん大きく膨れ上がっていく。

恋というものは、まったく自分じゃコントロールのできない、厄介な現象なのだと、いつまで思い知らされなくちゃならないんだろう。



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