君の笑顔は、俺が絶対守るから。

「覚悟してたの?」

「そりゃあな。好かれてる気はしなかったし。でも言えてよかったよ。ありがとう、佐倉」


山田が右手を差し出してきたので、私もお弁当を抱え直し、手を出しだした。


「こちらこそ、ありが――」

「こんなとこで、公開告白かよ」


山田の手を握ろうとした私の手を、突然引っ張った人がいた。

低い声で割りこんできたのは、さっき森姉妹にくっつかれていた、一ノ瀬くん。


どうして。購買に行ったんじゃなかったの?


「まさか、佐倉が言ってたのって……」


一ノ瀬くんに睨まれた山田が、驚いたように私を見る。

恥ずかしかったけど、黙ってうなずいた。


「そっかぁ。そりゃ勝ち目ねーわ」


そう言って笑うと、山田は軽く肩をすくめて去っていった。


その背中には哀愁が漂っていたけど、かける言葉は見つからなかった。

私は、彼をフッたんだ。
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