君の笑顔は、俺が絶対守るから。



ちょっとひとりになりたくて、小鳥とミーナに告げ教室を出た。

廊下を歩くとどの教室からも、お弁当の匂いが漂ってくる。


購買に向かうため階段を降りながら、昨日のことを思い出した。

高橋くんに、今度一緒しようって言ってもらえたこと、ちょっと嬉しかったなあ。


その“今度”はいつ訪れるだろう。

ぜひ機会があったらいいんだけどなあと思った時、背中にドンと強い衝撃があってよろめいた。


あれ、デジャヴ?

昨日も同じようなことがなかったっけ?


前のめりで倒れていく私の手から、財布がこぼれ落ちる。

その瞬間、財布を掴む大きな手が現れて、同時に腕を強い力で引かれた。



「おい、ぶつかったぞ。気をつけろ」


平坦な低い声に、ギクリとする。

まさか、この声って……。
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