君の笑顔は、俺が絶対守るから。

「は……はあ~!?」


あーもう、これだもん!

前言撤回! ぜんぜん優しい人じゃない!

一瞬でも見直してしまった自分が恥ずかしい。

最初からこの人はこういう男だったのに。私のバカ。


無言で睨み合っていると、高橋くんが現れて「どうしたのふたりとも」とたれ気味の目を丸くした。

いけないいけない。

恩人の前でみっともないところを見せるとこだった。


「何でもないの。転びそうになったところを、一ノ瀬くんが助けてくれて」

「へえ。やるなあ一ノ瀬」

「何が。ニヤニヤして見てくんじゃねぇ」

「怒るなよ。佐倉さんは大丈夫だった? ケガとかしてない?」


高橋くんに顔をのぞきこまれ、慌てて首を振る。


「私は全然、大丈夫! ええと……一ノ瀬くん、本当にありがとう」

「礼はいいから、お前もう少し注意したらどうだ」

「へ? 注意……?」
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