君の笑顔は、俺が絶対守るから。
でも、ムリだ。
一ノ瀬くんと一ヶ月も寝食をともにするなんて、私以上にきっと、一ノ瀬くんが困る。
断らなくちゃ。
一ノ瀬くんは断りにくいだろうから、私がちゃんと言わないと。
「あの……やっぱり、このお話は」
なかったことにしてください、と続けようとした時、袖をくいと引かれた。
ハッと下を見ると、春陽くんが大きな目をうるうるさせて私を見上げていた。
「梓おねえちゃん……?」
うちに、来てくれないの?
と、春陽くんがいまにも泣き出しそうな顔で無言で訴えてくる。
足元にいる真っ白なわんちゃんとそっくりの、小さくてかわいいかわいい陽向くん。
その破壊力に胸がぎゅぎゅぎゅ~っと締め付けられ、もうダメだった。
この可愛さに勝てる人間がいたら教えてほしい。
私にはムリだった。
可愛いって無敵だと思う。