【短】JELLYFISH
クラゲ
バッサリと切った髪。
首元が少し寒く感じる。
失恋すると女の子は髪を切りたくなるっていうけれどあながち間違っていない気がする。
別にそんな人に話すほどの大失恋をしたわけじゃない。
けど多分私にとってはそんなの関係なくて・・・。
心にぽっかりと空いた穴は想像していたより大きくて存外驚いている。
頬を撫でる風が冷たくて私は目を少し細めた。
そのまま足早に館内に向かう。
入り口でチケットを切ってもらうと外とは違う暗さにクラクラきた。
目が慣れてくると目の前いっぱいに広がる青に目が奪われる。
そう、ここは水族館。
特別好きなわけでもない。
特別な思い出があるわけでもない。
ただなんとなく来てみたくなっただけなのだ。
周りを見ると平日のせいか人はまばらでたまにカップルがいるくらいだった。
その光景に少しだけ胸がズキリと痛む。
そんな気持ちに蓋をすることもせずただただどこか達観してる自分がいた。