ハニーレモンの太陽。
「俺は柘植流星!バスケ部!流星とか流って呼ばれてる!よろしくな」

「私は八重樫日奈。日奈でいいよ、よろしく」

「えっと…桧山美桜です。よろしく」

「俺は蒼井悠陽。ハルとかでいいよ、よろしく!で、なんで…えっと、美桜?は敬語なの?」




"美桜"……。

不意に呼ばれた名前に、思わず反応してしまう。
深い意味はないのに。ただ、みんなと同じように名前で呼ばれただけなのに。




「ごめん、無意識で」

「無意識で敬語?ははっ」

「ハルくん、あの…」

「ん?」

「…やっぱなんでもない」




言えない。聞けない。勇気が出ない。


私が葛藤してる間に、たくさん話して、気づけば日は暮れていた。




「そろそろ帰るか!ハルはチャリ?」

「いや、電車!」

「お、桧山と一緒じゃん!」




駐輪場まで降りて、日奈と柘植くんとは分かれることに。



「じゃあ、私と流星は自転車だから。また明日ね!」

「おー、またあした!」

「また明日」





気まずい沈黙が流れ、わたしは意を決した。





「ハルくんっ」

「ん?」

「…覚えてる?朝…」

「電車?」

「!!」

「クラス入った時から知ってた。見つけたときはこんな偶然あんのかってビックリしたけど。」

「…そっか」

「俺のこと、興味あるの?笑」

「な、ないよ!!」




あ…しまった。
興味ないなんて…!


慌てて言い直そうとしたら、ハルくんが足を止めて言った。




「俺は君に興味あるよ」
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