赤黒マフィアの色恋模様
紅い瞳……。あの、夢に見た色を思い出す。
血のような、残酷なまでに狂わせる紅。
夢でも血は吸えるのかしら?そうだとしたら、怖い。
だって、知らなかったら、無邪気に近づいていたから。

「夢でも、血は吸える?」

「さあな」

「ひえ!!〈吸血鬼〉!!」

後ろから声がした。恐る恐る振り返ると、黒髪紅眼。気の強そうな顔。しっかり燕尾服を着ているが、妖しい魅力がある男。夢の時よりも。

というか、

「ここ、紫亜様の事務所、だよ?」

「気づきはしないですよ」
にっこりと笑う。そして、あたしに近付いた。

「貴方だけですから、夢の中まで入ったのは」
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