幼なじみの甘い甘い焦らし方
榛名はなんて答えるんだろう。
さっきとは違う意味で、私の心臓は壊れてしまいそうなくらいドキドキしていた。
そして、真面目な顔をした榛名が口を開く。
「ごめん」
返事はとてもシンプル。
素っ気なく聞こえるけど、真剣な榛名の顔はとても誠実に見えた。
「ずっと、好きな人がいるんだ」
「...っ」
榛名の言葉にびくっと体が震えた。
いたんだ。
好きな子....いたんだ。
なんだ。
なんだ。
最初から、ダメだったんだ。
「...そんなの分かってたことじゃん」
ぽそっと呟いた言葉は誰に向けたものなんだろう。
私じゃダメだってこともわかってた。
告白する勇気なんてないけど。
榛名はずっと誰のものにもならない。
そんなこと勝手に思って安心してた。
だって、今まで誰1人も榛名に告白して成功した子はいなかったから。
でも、違うんだ。
誰のものにもならないんじゃない。
もう、榛名の心は誰かのものなんだ。
ずっと。
ずっと。
いつからかは分からないけど...。
ぐるぐると視界が回る。
私、こんな所に隠れて何やってるんだろ。
ひとの告白盗み見して、勝手に傷ついて..。
(帰ろう...)
見つからないように、帰ろう。
一人で。
ふと顔をあげれば、女の子はいつのまにか居なくなっていた。