幼なじみの甘い甘い焦らし方
わざわざ校内放送で呼び出されるだけでも嫌な予感がするのに、相手はあの学年主任!
顔はかっこいいのにピクリとも表情筋を動かさない職員室の氷鬼!
氷鬼こと氷室先生からの直接の呼び出しなんて私、なにしちゃったんだろ...。
突然の呼び出しにびくびくと震えながらも、逃げる事は許されない...。
私は覚悟を決めて一人職員室へ向かう。
さっきまで榛名の話題で盛り上がっていたクラスメートたちも固唾を飲んでそんな私を見守ってくれていた。
***
イヤイヤ言いながらも階段を下りるだけで着いてしまった職員室。
私は顔を真っ青に染めながら、職員室の引き戸をゆっくりと引いた。
「失礼します、1年3組の百瀬です」
恐る恐る中を覗き込めば、室内にいる教師の数はまばら。
もしかして氷室先生も不在かもしれない!むしろ不在であってくれ!
「遅いぞ百瀬」
そんな私の儚い願望は、一瞬で砕け散りました。
職員室の奥から聞こえてきた氷室先生の淡々とした低い声。
その声だけで背筋がピンっと伸びてしまう。
心なしかいつもより低く聞こえる先生の声に一層びくびくと震えながら、私は観念して職員室内へと足を踏み入れた。