幼なじみの甘い甘い焦らし方
「は!?留年!?」
授業中の静かな教室に声を潜めた未央の声が響く。
隣の席の男の子がチラリとこちらの様子を伺っていた。
私は慌てて未央の口を両手で塞ぐ。
「口に出さないでよ〜っ」
「ご、ごめん」
恥ずかしさで顔を赤くする私を見た未央は、姿勢を低くしながら小声で話しを続ける。
「で、どういう事なの?留年って...」
「うぅっ。この前の中間試験の結果が散々だったみたいで...」
「憂勉強してなかったもんね」
「うぅ...。それでね次の期末試験で頑張れなかったら留年の可能性もあるって...」
「まじで!?それはガチでやばくない?」
「ほんとだよっ...!泣きそう」
もし本当に留年したら、なんて考えると今にも泣きそうになっちゃう。
「未央〜ったすけて!」
次の期末試験まで約1ヶ月半。
補習は多分1、2週間後かな。
「えっ、私!?無理無理。私も勉強嫌いだし」
自力でどうにかできる気がしない!
と未央に泣きついてみるも、あまり意味はない。
私ほどじゃないけど、未央も頭良くないもんなぁ。
でも他に頼める人なんかいないし!
留年するの嫌だから勉強教えてなんて、恥ずかしくて言えないよ!!
「未央〜っ、一生のお願いだから〜!」
授業そっちのけで未央に泣きつく私。
「無理だってば。ごめんけど、本当勉強は無理!」
困った顔を見せる未央は、「あ!」と声を出して何か閃いたような仕草を見せた。
「私になんか頼らなくても、憂にはアイツがいるじゃん!」