幼なじみの甘い甘い焦らし方
未央の言葉を最後まで聞くことなく、私は頑なに首を横に振り続けた。
そんな私を見て諦めたのか、未央は大きなため息をつく。
「じゃあ、自力で頑張る?」
「そ、それは厳しいかも...」
「じゃあ、水谷川に頼む?」
「そ、それも厳しいなぁ...!」
ていうか選択肢は二つしかないんかい!
どんなに頼んでも未央は私に勉強を教える気がないみたい。
1人で頑張るしかないのかなぁ..。
こんな時榛名に頼れたらどんなにいいか。
中学1年生までは仲良かったのに。
幼馴染で家が隣だから登下校も一緒で、クラスは離れてたけど休み時間もよく一緒にいた。
家に帰ってからも2人で遊んだり...、あの頃は本当に楽しかった。
なのに、ある日突然榛名はよそよそしくなって...。
気まずいまま顔を合わせる回数も減って、いつの間にか話すこともなくなった。
わたし、榛名に何かしちゃったのかなぁ。
怒らせるようなことをしたなら謝りたい。
また前みたいに仲良くしたい。
榛名は私の初恋の人。
ずっとずっと大好きな人。
王子様なんで呼ばれて、女の子選び放題の榛名に告白する勇気なんてないけど、幼馴染としてならずっと隣に居られると思ってた。
なのに今は....。
「....榛名」
会いたい。話したい。
前みたいに隣で笑ってほしい。
勉強教えて、なんて可愛く言えたらどんなに楽なのかな。
考えれば考えるほど辛くなる。
目が潤んで泣きそうになる。
そんな私を、未央はじっと見つめてた。