月夜の砂漠に一つ星煌めく
「ジャラール王子。あなたは!……王の実子ではないのに、我が姉の必死の訴えで、この宮殿に留まって居られることに、感謝の念がないのですか!」

俺は両手を、握りしめた。

「その事で、王がどれ程お心を痛めながら、あなたを育てたか!私とて、姉の子供だからこそ、あなたの事を慈しみながら、育てたと言うのに!」

「母上、それはあまりにも、言葉が過ぎます。」

堪り兼ねて、ネシャートが王妃に、言葉を差した。


「お黙りなさい、ネシャート。この者は、実の子として育ててもらった恩を、仇で返そうとしているのです!」

「ジャラール王子は、そのような方ではありません!ご自分の責務を果たそうと、必死に日々努めておられる方です!」

「その結果が、これですか!?妹のように、一緒に育った王女に、辱しめを与えるような事が!」

「辱しめなどでは、ありません!母上、どうすれば、私達が互いに慕い合っている事を、お分かり頂けるのですか!」
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