月夜の砂漠に一つ星煌めく
成人の儀を迎える15歳まで、残り3ヶ月になった。

ハーキム相手の、剣術の訓練も、より本格的になってきた。


「ジャラール王子。もっと相手をよく、見て下さい!」

「はい!」

「ハーキム!もっと、腰を入れろ!」

「はい!」

と言うか、一番張り切っているのは、剣術の先生なんだが。

この者は、もう引退はしたそうだが、かつて軍隊を率いた事もあったそうで。

父上と共に、いろんな場所へ、遠征にも行ったらしい。


「そこまで!」

先生の声がかかると、ハーキムと一緒に倒れこむ。

「……今日の先生、一段と訓練が厳しいな。」

「そうですね。」

一緒に息切れしているハーキムも、同じ事を考えているようだ。

「さあさあ!いつまで倒れているのですか!戦場では、倒れている暇など、ありません!」

まだ1分も経っていないのに、先生は両手を叩く。

重い体を起こして、立ち上がろうとすると、膝がガクッと落ちた。
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