好きだけじゃどうにもならない私と彼の恋事情
「お世話様です、泉です」
可愛い扉を開けるとさらに可愛い笑顔が2つ、腕のなかに飛び込んだ来た。
「ママ~~」
2人の声がシンクロした。
「結月、葉月、お待たせ~」
私は双子の姉弟の母。
1年前、子ども達が3歳のときに離婚したのでシングルマザー。
これが、気軽に男性と付き合えない理由のひとつ。
私は力いっぱい2人を抱き締めた。
すると小さな帽子を持って後ろから先生が現れた。
「ゆづちゃん、はづちゃん忘れ物よ~」
そう言いながら二人に帽子を被せた。
二人の担任の花先生は若いのにしっかりしていて子どもからも親からも信頼は厚いとっても良い先生。
「先生、今日もありがとうございました」
「いえ、二人ともとても良い子で待ってましたよ。お母さんもお仕事お疲れ様です」
どうしても仕事の関係上、お迎えが遅くなってしまうが、嫌な顔せずに労いの言葉までくれる花先生の一言で心がすこし軽くなった。
「先生、さようなら~」子ども達の元気な声と共に保育園を後にした。
家に帰ったら、夕飯を作り2人に食べさせ、お風呂に入れる。
歯を研いて就寝前の絵本。それから寝かしつけ。
その後は夕飯の片付けと明日の登園準備、洗濯物をたたんでからやっと自分の時間。
時刻は22時が終わろうとしているところ。
やっと一息つこうと冷蔵庫を覗くも、大好きな黄色い炭酸はないので、温かい玄米茶をいれた。
「こんなときに限ってビールを切らすなんて、、」
飲まなきゃやってらんないよ、そんな日だったのにな。
自分の好きな人とキスをした。
でも、後悔して謝ってきたなんて、と昨日からの出来事を思い出す。
「てか、振り向かすって、どーすんのよ私。」
その夜は、答えの見つからない疑問を考え続けた。