好きだけじゃどうにもならない私と彼の恋事情

店長と初めてキスをする数時間前。


あの日は職場の忘年会で家の方向が同じだった私と店長は一緒に歩いていた。


話をしながらホテル街の近くを通ったその時、止まる店長の足。

顔はホテル街に向いていて、目線の先には腕を組ながら寄り添うように歩く男女。
そして、その二人はホテルの中に入っていった。
店長は「またか」と呟いた。



私はその女の人が持っていたバッグには見覚えがあった。
店長が"彼女へのクリスマスプレゼント"で買ったと自慢げに見せられた画像のバッグと同じだった。



店長を見ると困ったように、「行こっか」と一言。

その帰り道で、あの男女の女の方が店長の彼女だと言うこと、彼女が浮気をするのが今回初めてじゃないこと、毎回泣いて謝る彼女を放っておけないことを聞いた。

< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop