【短】abyss
「もう…ちゃんと断ったじゃない。…ほら…機嫌を直して?折角の二人の夜を台無しにしたくはないでしょう?」
「そうだけど…ねぇ…埋め合わせって、何するの?」
諭されるような口調だけど、それが彼女の口から紡がれる言葉なら一つも気にならなかった。
だって、彼女がオレを愛してくれてる証の一つ。
何時だって逃げ場を作って…オレを自由のまま虜にさせる。
半ばゲームのように始まった関係。
だから、今はまだそれに酔っているフリをしよう…。
「ふふふ…なに?気になる?」
「まぁ、ね…オレ、シズカさんにすっかり骨抜きだからさ…」
「くすくす…もう、やぁね…何処で覚えてきたの?そんな文句…悪いコ…」