【短】abyss

深いキスの後で、ペロリとオレの下唇を舐め上げる癖。

クラクラする程魅せられてるのに、慣れた仕草でそれを容易くかわすから。

少しだけ困らせたくて、小首を傾げながら尋ねたら寂しそうに微笑まれた。


もしも、貴女に見合うような男に今すぐなれたとしたら…。

貴女のことをもっと燃え上がらせられるの?
…ただ大人になるだけじゃ、貴女を満たすことなんて出来ないと分かってるけど。

心の中で繰り返す自問自答。

答えはいつも、貴女の温もりへと溶けてしまって曖昧になる。


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