【短】abyss
「ねぇ…シズカさん…ちょっとだけ甘えてさせて?」
「ふふふ…いいわよ?ハルにだったら、甘えられるのも我侭言われるのも嫌じゃないし」
シーツに包まったシズカさんの肩に、擦り寄るように頭を寄せて瞳を閉じる。
シズカさんは楽しそうに笑いながら、そんなオレの頭を撫でてくれた。
もし…さっきの電話みたいに嘘で塗り固められた関係だとしても。
今、目の前にいる貴女が全てで。
オレの瞳に映る貴女を愛してるから。
「じゃあ、シズカさんもオレに甘えてくれる?」
「ハル………それ、本気?」
「冗談じゃ、こんなコト言えないよ…オレ。……そんなのシズカさんが一番良く知ってるでしょ?」
瞳を開けて少し上目遣いにシズカさんの顔を見つめると、珍しく驚いていて。
それがなんだか嬉しくて、オレは態勢を変えるとシズカさんをぎゅっと抱き締めた。