オレ様御曹司 と 極上KISS
「また振られたの?」

「まぁね。いつものことだよ。
もっと大事にしてくれる人と付き合うんだってさ。」

「ふうん・・・。ま、わたしも今回は同じかなぁ。
恭介と別れたの。」

「ウソ?!」

「ホント・・・。」

アラビアータを頬張りながらわたしの顔を伺うように見る蒼大に、わたしもアラビアータを頬張りながらさりげなく言った。

「しのりって覚えてる?」

「あー。高校の時の?」

「そう。カノジョと結婚すんだってさ。」

「は?」

あー・・・。アラビアータおいしい。

蒼大のフォークの動きが止まった。
わたしの顔を見つめている蒼大。

わたしは無視してアラビアータを食べ続けた。

「まぁ、親友にカレシを盗られたバカなオンナってこと。」

蒼大はわたしの顔を見つめていたが、わたしが食べ続けているのをみて、自分もまたフォークを動かし始めた。

「いいじゃん?あんなオトコ。ほかにいいヤツいるって。なおには。
俺あのオトコ優しいだけな気がして嫌だったんだよね~。」

蒼大の優しさに一瞬涙が出そうになったけど、姉としてそこは耐えた。

「蒼大。わたしお風呂入るね。
ごちそうさま。
やっぱ蒼大のパスタは最高だわ。」

わざと笑顔を作ってお風呂に直行した。


ありがとう・・蒼大。
< 10 / 171 >

この作品をシェア

pagetop