音楽と私
「うん。今ね、凄く響が近くにいるって感じるよ。音楽学校で出会った時とかね、見えない壁があるみたいで、ちょっと遠くの存在だったんだ。」

心愛……そんなふうに思っていたのですね。

「私は、友達が私から離れることに怯えていたんです。だから、”友達を失望させないように”ってずっと思っていて、一歩下がっていたんだと思います。自分の本音を自分の音楽を隠していたんです。」

これは本当。だってそれが皆の幸せだと思っていましたので。

「響……」

「響ちゃん。」

2人ともそんな悲しい表情は辞めてください。私は2人の笑顔が大好きなんです。だからーー

「隼人、心愛ピアノ弾きましょう!私達は、音楽で繋がる事が出来ます。そして、キョウの居場所を見つけよう!私、1人じゃきっと無理だから3人でやろうよ!」

「うん!」

「はい。」

「1人じゃ出来なくても3人なら出来る!!です。」

「だな!」

「私、負けないよ。」
と、心愛が言いました。私はとても驚きました。「負けない」って言葉に。

「もう音楽から自分から逃げない。だから、隼人も響も本気で演奏すること。いいね?」

「いい事言いますね心愛。僕も負けませんよ。本気でやります。僕のスピードに着いてきて下さい。」

「やってやるよ!」

2人の熱が高まって来ています。これも、貴方のお陰です。キョウ。貴方が2人に希望の光を与えてくれました。貴方が2人に指導をしたからここまで2人の思いが強くなりました。

「2人とも凄いですね。私も負けない!本気でやります。」

だから、私も「負けません」。心愛と隼人にも負けません。貴方に届ける為です。だから、聴いてくださいキョウ。
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