音楽と私
「3人とも思い出してくれて嬉しいよ。」

キョウ、とても優しい感じです。

「ビックリしたよ。まさか、私達が10年前の6歳の時に会っていたなんて夢にも思わなかった。」

確かに私もビックリしました。

「そうだな。」

「けど、何故僕達は忘れていたんですか?」

「神崎家……です。神崎家が、音楽を使って隼人と心愛の記憶を操作し、自分の有利な道に進むようにしたんです。神崎家は……あの人達は、音楽を道具としか思っていないんです。」

「道具……」

そう。私も神崎家の1人ですからね。私の場合は私が道具になっていたんですよね。

「音楽は、人の思いで無限の音を奏でる事ができます。」

「無限の……音」

「演奏者が”楽しい”って思っていると、聴いている人も”楽しい”って思えてくるんです。逆に”悲しい”だと、聴いている人には”悲しい”音にしか聴こえません。音楽は、本当の自分を映し出してくれる鏡なんです。」

音楽は喜怒哀楽が表現出来る優れたものなんです。表現出来、それを伝える事が出来るんです。だから、音楽は本当の自分を映し出してくれる鏡なんです。

「”本当の自分を映し出してくれる鏡”……か。確かにそうだな。」

「そして、音楽は人と人とを繋ぐものでもあります。演奏者同士が互いに惹かれ合い、分かち合う事で新たな音が生まれます。」


「だから、音楽は”無限大”なんだね。そして、人の心を操る道具じゃないって事だね。」

そう言うことです心愛。
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