大嫌いなクール王子になぜか溺愛されてます。
わたしの名前は成田花菜(なりたかな)、今日から中間学年である朝日高校二年生に進級する。
昨日までの春休みは毎日九時ぐらいまで遠慮なく存分に睡眠をとっていたけれど、今日からは毎日七時に起きなければならない。
って七時なら全然いいほうか。
お父さんはたしか七時に家を出ていたもんなぁ。
中学生まではお母さんに起こしてもらっていたけれど、一人暮らしをはじめてからは目覚まし時計を最大ボリュームにし、ベッドから手を伸ばしても届かない場所に置くという技のおかげでばっちり一人で起きられるようになった。
今では中くらいのボリュームでも一発で目覚められるという小さな成長ぶり。
わたしは学校から近いマンションを選んだから、七時でも十二分に間に合うのだ。
それにわたしの朝はおそらく、世間の女子高校生より時間がほとんどかからない。
例えば一年のとき同じクラスだった毎日ギャルメイク+巻き髪のあの子だったら、あと三十分ははやく起きなければならないだろう。
いや、下手すると一時間かもしれない。
あのフル装備はどういった過程を踏み、一体なん十分かかるのか少し興味がある。でも、わたしとその子はまったくの別世界の人間のため、話したことがない。よってそんな疑問を投げ掛ける機会は訪れなかった。
それくらいメイクやヘアスタイルに時間がかかる乙女たちはこの世にたくさんいるというものだ。