大嫌いなクール王子になぜか溺愛されてます。


急いで携帯で時間を確認すると、走れば集合時間にまだ間に合いそうだ。これは取りに帰る一択しかない。

すぐさま体を歩いてきた方向に向け、小走りで勢いよく駆け出した。


わたしは小さい頃から大きな瞳とぱっちりとした二重、マスカラいらずの長いまつ毛が綺麗だと褒められてきた。

わたしの目元を隠すことが、わたしという存在を地味にする最大のポイントなのだ。

よってメガネというマスターアイテムはかかせない。

春休み中はメガネをかけていなかったため、わたしとしたことがうっかり忘れてしまっていた。


マンションの505号室に戻りテーブルに残されていたメガネを慣れた手つきでかけ、もう一度学校へと小走りで向かった。


もうすぐ始業式が始まってしまう。おそらくみんな体育館に集合しているだろう。


二年の教室がある校舎の一階の壁にクラス表が貼られていると、一年の担任が終業式で言っていた。


自分のクラスがわからないと、始業式で整列できない。


急いで校舎のなかに入ろうとした、そのとき。


「──きゃっ!」


ドンッと校舎から出てきたわたしより背が高く体の大きいだれかにぶつかり、踏み場がわるかったせいでわたしは尻餅をついてしまった。

< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop