【完】さつきあめ〜2nd〜
「きちんと連絡しなさい。
あたしたちの仕事ってお客さんとの信頼関係の上で成り立っていくものなのよ?」

「はい…本当にごめんなさい…。でもあたし、もう仕事は…」

こんな身勝手な事ばかりして、お客さんにも皆にも合わせる顔がない。
それをくみ取ったかのように由真は大きなため息を吐いた。

「宮沢さんと暮らしているの?」

こくんと頷くと、やっぱりというように由真は更に大きなため息を吐いた。

「宮沢さんと付き合う事にしたの?」

その問いかけにはぶんぶんと顔を横に振った。
それを告げると由真は呆れ顔でわたしの手を掴んだ。

「とりあえずうちに来てよ。ここで話すのもなんだし…。別に宮沢さんに監禁されてるっつー様子でもないしね」

「それは…!全然違います…。宮沢さんはそんな人じゃないし」

「とりあえず、来て。うち今散らかってるけど」

先ほどの宣言通り、由真の家は思ってた以上に汚かった。
明日ハウスキーパーが来るの、と由真は言い訳をして、リビングにごちゃごちゃに積み上げられた洋服を寝室へ投げ捨てるように片づける。

そう言えば、わたしが来てからの朝日の家は汚れてはいなかった。
ハウスキーパーや雇った掃除屋さんは来てる気配はなかったし、あの人、意外に几帳面なんだな、と感じた。

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