【完】さつきあめ〜2nd〜
それとは対称的で由真はやはりおおざっぱで、冷蔵庫から乱暴にお茶を取り出すと、ペットボトルのままテーブルに置いた。
それに少し笑みがこぼれる。
初めて来た時はおしゃれな紅茶セットでお茶をいれてくれたというのに。

「何よ…。
洗い物だって何もしてないから仕方がないでしょ?何か文句ある?」

「いえ、全然、むしろ由真さんらしいなって…。
お茶いただきます」

決して綺麗とは言えない由真の家で、久しぶりに朝日以外の人間と向き合う
なんら変わりのないペットボトルのお茶を口に運ぶと、思っていた以上に緊張していた自分に気づいて、お茶を一気に半分まで飲み込んでしまった。
こんなに喉がからからだったんだ。

「だいじょうぶだって宮沢さんは言ってたけど
生きてるだけで良かったわ…」

口は悪いけど、由真が優しいのは知ってるつもり。
ホッと胸を撫でおろしたようにお揃いのぺっどボトルのお茶に口をつける。

「それにしてもボロボロね。
元々痩せてるのに痩せすぎ…。それに美容室にも行ってないでしょ?髪も傷みまくりだし
今のあんた相当気持ち悪いわよ…」

はっきりと言ってくれる言葉にさえ優しさを感じてしまうのだから、不思議な人だ。

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