【完】さつきあめ〜2nd〜
「そんな……」
「大体年明けにオープンする予定だった新店の話もなかったようになってるみたいだしね。それだけきついって事でしょ」
「新店も…」
「年明けにオープンする予定だった新店は宮沢さんにとって特別なものだったらしいって話。
全部において一流で、日本一のお店にしたいって夢があったみたいだし、かなり思い入れがあるんじゃないの?さくらちゃん、何も宮沢さんから聞いてないの?」
聞いてない。
何ひとつ聞いてない。
わたしは、あの人の想いとか、何を夢にしているとか、そんな肝心な話、今までに一度だってした事がなかったんだ。
だから朝日の気持ちや想いを何ひとつ理解しないまま、結局あの人を好きになってしまった。
黙り込むわたしに、由真は大きなため息を吐きながら、煙草の灰を灰皿の上に落とした。
光のお店の事…。応援したい気持ちが少しあった。
けれどそれも自分勝手なわたしの想いで、わたしは光をずっと好きでいれなかった自分が許せなくて、その罪悪感から少しでも逃れたくて、光の夢を応援していただけなのかもしれない。
皆の夢は同時に叶わない。
光の夢が朝日の妨げになって、また朝日の夢も光の妨げになる。
「THREEは…」
由真が切り出す、THREEという言葉。
わたしは身勝手にも、THREEから逃げ出した形になった。わたしを応援したいという美優の気持ちも、一緒に頑張ろうと言ってくれた高橋も、お店のスタッフもキャストも、わたしに会いに来てくれてるお客さんも全て無視をして、こんな自堕落な毎日を送っている。
「大体年明けにオープンする予定だった新店の話もなかったようになってるみたいだしね。それだけきついって事でしょ」
「新店も…」
「年明けにオープンする予定だった新店は宮沢さんにとって特別なものだったらしいって話。
全部において一流で、日本一のお店にしたいって夢があったみたいだし、かなり思い入れがあるんじゃないの?さくらちゃん、何も宮沢さんから聞いてないの?」
聞いてない。
何ひとつ聞いてない。
わたしは、あの人の想いとか、何を夢にしているとか、そんな肝心な話、今までに一度だってした事がなかったんだ。
だから朝日の気持ちや想いを何ひとつ理解しないまま、結局あの人を好きになってしまった。
黙り込むわたしに、由真は大きなため息を吐きながら、煙草の灰を灰皿の上に落とした。
光のお店の事…。応援したい気持ちが少しあった。
けれどそれも自分勝手なわたしの想いで、わたしは光をずっと好きでいれなかった自分が許せなくて、その罪悪感から少しでも逃れたくて、光の夢を応援していただけなのかもしれない。
皆の夢は同時に叶わない。
光の夢が朝日の妨げになって、また朝日の夢も光の妨げになる。
「THREEは…」
由真が切り出す、THREEという言葉。
わたしは身勝手にも、THREEから逃げ出した形になった。わたしを応援したいという美優の気持ちも、一緒に頑張ろうと言ってくれた高橋も、お店のスタッフもキャストも、わたしに会いに来てくれてるお客さんも全て無視をして、こんな自堕落な毎日を送っている。