【完】さつきあめ〜2nd〜
「光!男は女を守るために生まれたんだって!
だから俺たちでずっと綾を守って行こう!」
「うん!わかった!」
「約束だぞ!」
ぎゅっと兄貴と握った小指を、今でも覚えている。
「うん!約束!
…でも僕、やっぱり綾も守りたいけど、朝日くんも守りたいんだ」
「え?」
「だって朝日くんと僕は男同士だけど
朝日くんは僕の大切な家族だから!」
どんなに成長しても
たとえ、俺に持っていない物を、兄貴が持っていて、自分が全てを持っていない事を思い知っても
俺の中の兄貴は、ずっとあの日出会った頃のまま。
光りの中で、口を開けて、まるで眩しいものでも見つけたように俺を見つめる、幼き少年。
ずっとずっとあの姿にとらわれたまま。
まるで俺だけ、あの場所で時を止めたように。