【完】さつきあめ〜2nd〜

「さくらちゃんって双葉のナンバー1なんだって?」

近頃宣伝効果もあってか、双葉にはフリーのお客さんが付き始めた。
七色グループにとっても、お店にとってもそれはとても良い事、なのだけど。
サイトでのわたしの悪口は止むことはなかったし、それどころか段々エスカレートしていった。大概のキャストや、そのサイトの存在を知ってるお客さんは「気にすることじゃないよ」と言ってくれた。
でも確実にストレスとして積みあがっていく。

ナンバー1。
新規のフリーのお客さんに最近よく聞かれる。
わたしは今までのお店でもナンバー1を取った事があるし、ナンバー1じゃなかった事だってある。
実際双葉でナンバー1を取ったけれど、美月に先月は抜かされてしまったし、順位なんて恐ろしい速さで移り変わる世界だ。

けれど双葉の入っているビルで1番大きく広告が打たれているのもわたしで
雑誌にも特集を取り上げられてるのもわたし。
けれど先月は宣材写真さえまだ取っていない新人の美月に抜かされた。…もうナンバー1じゃない。

あんなのまぐれだよ。周りはそう言ったけれど、今月も美月は太客と毎日のように同伴して、驚くほどの高級ボトルを空けてしまうのだ。

色恋だ、と周りに騒がれていたけれど、それも営業のひとつで
枕だ、と騒ぎ立てる人もいたけれど、何の根拠もなくそれだけはないなと思っていた。

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