【完】さつきあめ〜2nd〜
たとえば過去のレイは枕営業をするほど焦っていたし、それに罪悪感を感じて、苦しんでいた。
美月にその様子はない。それどころか彼女は自分のお客さんに嫌悪感をいつでも抱いていた。予想でしかなかったけれど、やっていないと思った。
かといって、ゆいのように無意識のうちにお客さんをハマらせてしまうタイプでもなくて、彼女はまるでゲームでも楽しむかのようにお客さんが自分にお金を落としていくのを愉しんでいた。
無邪気ともまた違う。優しさや情があるわけでもない。
彼女は自分の指名客が幸せである事さえ憎んでいた。人を人だと思っていない非道さが彼女の中に隠されている事を知る。
「あたしはナンバー1じゃありません」
「えぇ!さくらちゃんすごい可愛いのにね~!」
「いえいえ~うちのお店にはあたしより可愛い子も全然いますし~
それより飲みましょ!」
「あーうん。飲もう飲もう。
でも双葉にも沢山可愛い子いるけど、EDENも綺麗な子が多くてさぁ」
「EDENって…」
「あ、そっか。EDENのオーナーさんは昔ここのグループの社長さんだったんだよね。
最近よくEDENも使わせてもらってるんだけど、いい子揃えているよ~!」