【完】さつきあめ〜2nd〜
「あの……」
「沢村くんと一緒に来てて、さくらさんって名前が聞こえたから。
きっと君だと確信していました。
宮沢くんからも、…後、有明くんからもお話は聞いてますよ」
「光っ?!!」
思わず声を上げてしまい、椅子から立ち上がってしまった。マスターはそんなわたしの様子を見て、やっぱり微笑むだけだった。
「お2人とは昔からの知り合いでしてね。
よく2人でお店に飲みに来てくれたり、オヤジなんて言って、僕を慕ってくれたり
昔はよく従業員を連れて飲みにきてくれたなぁ~……」
従業員、という言葉を聞いて、どきりとした。
朝日と光がまだ仲が良かった頃の、きっとこの人はさくらさんの事も知っている。
「いやぁ、懐かしい。
宮沢くんは昔からああいった性格でね。
それとは対称的で、有明くんは落ち着いている、というか…昔から大人びている子だった。
あんまり自分の本音を漏らさないタイプで、保守的な感じもあったから
自分でお店を開いたって聞いた時はびっくりしたよ」
「光はそんな感じですよね……」