【完】さつきあめ〜2nd〜
「うん、あの子は表で戦うよりも、宮沢さんの後ろでサポートに回った方が向いてる子だと思っていたから。
君はもう知ってると思うけれど、昔君と同じ名前の女の子がいてね」
「…さくらさん…」
「そうそう。僕のお店に通ってる時は有明くんとよく一緒に来ていて
あんまり自分の本心を出さない有明くんが、その子の前ではよく笑うようになって
でも、さくらちゃん…ある日を境に忽然とお店に来なくなってしまってね」
「それは…宮沢さんと付き合った時からですか?」
ははは、とマスターは小さく笑い、有明くんから話に聞いていた通りの子だ、とわたしを見て言った。
「結構直球に物事を聞いてくるんだね」
「あ、すいません…何か…」
「いやいや別に怒ってるわけじゃないから。
真っ直ぐなところがすごく好きだって、有明くんが言ってたから」
「光が……」
「まぁ、有明くんだけじゃないけど。
宮沢くんも。あの2人を見ていると、好きになるタイプが似ているなぁってつくづく思うよ。さすが兄弟ってところかな」
「あの、あの…その…あたしとさくらさんって似ていますか?」