【完】さつきあめ〜2nd〜

いつも笑っていて、俺に何でも与えてくれた存在。俺がいることを、この世界に存在することを初めて認めてくれた存在。海よりも深く、どこまでも澄み切っていた心を、羨ましく感じた事なんかない。
だってどこまで羨んだところで、俺は光には絶対になれない。

きっと俺は、何を手にしても、どれだけ努力しても、光には敵わない。

「ひかるー、あさひー…」

小さかった綾は
いつも俺たちの後をついてくるような女の子だった。
世界中でこんなにも自分で何も出来ずに、こんなにも愛しい命があるという事を知った。
ずっとずっと守っていこうと決めた。
目の前にいる綾は、俺を傷つけたり、捨ててきた女とは違う。
全く違う生き物だったから。

「光!男は女を守るために生まれたんだって!
だから俺たちでずっと綾を守って行こう!」

「うん!わかった!」

「約束だぞ!」

ぎゅっと光と握った小指を、今でも覚えている。
でもその後に、光は少し困ったような顔をしたんだ。

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