【完】さつきあめ〜2nd〜

「でも借金が返し終わったら結婚しようって言ってて…。
美月ちゃんは毎日僕に電話もくれるし、毎日一緒にご飯も食べてくれるし
本当にいい子なんですよ~、僕にはもったいないくらいで~…」

誰かが美月のヘルプに着いて、佐竹は怖い人だと言っていた。その意味がようやく理解出来た気がする。
電話をするのは営業だろうし、毎日ご飯を食べてるって…それは同伴じゃあ。突っ込みどころが多すぎるけど、今はとりあえず何も言わないでおく。

「でも、そんな美月ちゃんを応援して、こうやってお店まで来てくれるんだから
佐竹さんも相当良い人ですよ」

「いやいや僕なんて~本当に冴えなくて~
今まで女性に好きなってもらったことがないから~…。だから美月ちゃんが僕と一緒にいたいって言ってくれて、本当に女神かと思ったんですよ~」

「そうですね~、美月ちゃんは本当にいい子だから~」

自分で言っていて、胸が痛い。
ここまで人はハマってしまうものなのだろうか。そして、ここまで本気にさせる美月が怖いと感じる。
ゆいの場合も似たような感じだった。けれど、ゆいとも全然違う。ゆいは計算せずに天然で人をハマらせる才能がある女の子だった。
けれど、美月は全然違う。わかってやっているのだから、たちが悪い。

佐竹があまりにも真っ直ぐで純粋だから、余計心が痛かった。

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