【完】さつきあめ〜2nd〜
「なんか仲間割れ?みたいな?
今日遅い時間に来た美月指名の客わかる?
何か元々るなちゃんの指名客だったみたいなんだけど、るなちゃんが休みの日に美月が着いて、美月に指名変えしちゃったみたいよ」
指名はお客さんの自由だ。
わたしだって指名変えをされた事はあるし、逆に誰かの指名を貰った事もある。
でもまさか、るなと美月は友達だったはずだし、そんな事はないだろうと思っていた。
怒鳴っているのは、愛だった。
「売り上げの為なら何でもするの?!
そうやって人を傷つけて平気なわけ?!」
「もういいって…愛ちゃん…」
「いいじゃん。るなは別にレギュラーってわけじゃないんだし、ただのアルバイトでしょ?
あたしほど本気でやってるわけじゃないんだからお客さんのひとりやふたり指名変えされたくらいで何よ」
「アルバイトとかレギュラーとかそういう問題じゃないよ!美月!
人としてって事だよ?!」
大きな音を立てて、レイが扉を開いた。
そこには今にも美月へ殴り掛かりそうな愛の姿があって
愛の後ろで、るなはおろおろしていた。
「何やってんの、あんたたち」
レイがふたりの間に入って、喧嘩を止めようとする。けれどそのレイを、美月は睨みつける。
「だってレイさん…聞いてくださいよ。
美月がるなの指名のお客さんとっちゃって!!休みの間にそんな事するなんて、卑怯じゃありませんか?」
「愛ちゃん落ち着いて!!
指名を選ぶのはお客さんの自由だよ」
「だって…レイさん!!」