【完】さつきあめ〜2nd〜

「美月ちゃん!!」

「っ!!」

いつかもこういう事があったような気がする。
あれはシーズンズでだっただろうか。あの時もレイと誰かが揉めていて、こうやってレイは更衣室を飛び出して、わたしは追いかけてしまった。
知りたくて…。わたしには分からない、この世界で戦う女の子たちの気持ちが知りたくて
わたしはここに立っているのかもしれない。

「なん、ですか………」

美月の腕を掴むと、離そうと力を強めたのがわかった。

真っ直ぐに美月を見つめると、その腕の力は弱まり、目を伏せた。

「美月ちゃんはそれで平気なの?」

「何がですか…」

「愛ちゃん…美月ちゃんの事すごく大切にしてるよ。
るなちゃんの事だって、美月ちゃんの為を思って言ってくれたんじゃないかな?
本当に大切に思ってる人じゃないと、わざわざ怒ったりぶつかっていったりしないよ!
どうでもいいと思っているのなら、怒りもしないし、自分の悪いところをわざわざ指摘なんかしてくれないものだよ!」

そうだ。それがわたしや他のキャストが美月にした事。
何か関わるとめんどくさい事が起きそう。そう思って、見て見ない振りをしてきた事だ。

「そんなの、あたしは知らない…」

「そんな風にしてると大切な友達だってなくしちゃうよ?!」

大きな目を見開いて、美月はわたしを睨みつける。

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