【完】さつきあめ〜2nd〜

「友達なんて思ってない!!
るなや愛にあたしの気持ちなんて絶対わかんないもん!!
両親もちゃんと揃っていて、普通の家庭で育ってきて、高校や大学にまで行かせてくれるほど恵まれてるあの子たちになんか、絶対にあたしの気持ちを理解出来るわけない!!
るなや愛は結局あたしを下に見てるんですよ!親がいなくてかわいそうとか…学校に行けなくてかわいそうって…
結局は全部同情なんです!自分が全部持ってるからって、あたしに優位に立って気持ちいいだけなんです!」

「そんなこと……」

「そんな事ありますよ!
でもきっと、さくらさんにはもっとわからない!
誰からも愛されてるから、愛された記憶があるから人にも優しくできるんです!
あたしは…違った…。あたしは誰にも愛された記憶がない!大切にもされてない!
だからいいじゃないですか!何でも持ってるんだから、ナンバー1や宮沢さんくらい、あたしに譲ってくれてもいいじゃないですか!!」

余りの気迫に、何も言葉をかけられず
目の前でわたしを睨みつける美月の瞳は、どこまでも暗く、どこか深い場所にいる。
小さな子供が欲しい物をただただ無心に欲しがるように、彼女の瞳には、どこか深い悲しみがあった。
そしてわたしは、この悲しい瞳を持っている人を、知っている。
欲しくて欲しくてたまらない。でもどうしてもそれを手に出来なかった。得たかった愛情も得られずに、ただ求めた。どうして彼女は、わたしの愛した人とこう重なってしまうのだろうか。

それがずっと怖かったし、そしてそれを放っておけなかった。

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